サマリー
◆2021年6月15・16日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、0.00-0.25%に据え置き、バランスシート政策も変更しなかった。今回の決定自体にサプライズはない。
◆注目されていたテーパリング議論の開始に関しては、予備的議論が始まったことが公表された。また、FOMC参加者によるFF金利の見通し(ドットチャート)では、2023年末までに2回分の利上げが実施されるとの見方が示された。そして、IOERやリバースレポレートの引き上げも決定されるなど、総じてタカ派的に映る。声明文でポストコロナへの移行が鮮明化されたことや、経済見通し(SEP)での全体的な上方修正がFOMC参加者のタカ派的な認識の背景となっている。
◆今後はFOMC参加者の認識の変化や議論の内容について、更なる解釈が進められることになる。例えば、利上げ予想が増えた主因(インフレ加速なのか、景気回復の加速なのか)や、テーパリングの予備的議論(テーパリングに踏み切る基準など具体的な議論が進められているのか)などが中心となる。
◆また、今回のFOMCの結果に対し、FOMCの参加者の期待先行が過ぎるという指摘もある中、今後は期待通りに景気回復が進んでいくかを確認していくことになる。特に、目下の注目点であるテーパリングの実施判断を考える上で、6月以降の雇用統計の結果で労働供給制約が想定以上に解消されなかった場合のタカ派の巻き戻しの可能性にも目配りしておく必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
ソフトウェア投資の拡大は今後も続くのか
求められるIT人材の育成、中小企業への支援、行政のデジタル化
2024年04月25日
-
中国経済見通し:名目<実質、実感なき景気堅調
不動産不況に一段の長期化の懸念
2024年04月25日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
大手生保は中長期の事業環境の変化に対応できるか
~本格化するビジネスモデル変革~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
複眼的思考へのヒント
2024年04月24日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日