サマリー
◆10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+63.8万人、失業率は6.9%となった。失業率は予想以上に改善し、雇用者数も民間部門を中心に堅調であったことから、雇用環境は引き続き改善している。他方で、米国における新型コロナウイルスの新規感染者数は過去最多を更新するなど、状況は悪化しており、経済活動の停滞、ひいては雇用環境の回復が阻害される可能性がある。また、感染再拡大が進む中でも、追加的な財政支援の目途は付いておらず、雇用環境が悪化した場合のバックストップが不足する可能性もある。
◆10月の雇用統計公表の前日に、パウエルFRB議長はFOMC声明文公表後の記者会見で、新型コロナウイルス感染再拡大と追加的な財政支援の不足を景気の先行きにおける最大のリスクとして認識していると述べた。もっとも、追加的な財政支援の行方を見定めたいとの思惑から、11月のFOMCでは追加的な措置を取らず、様子見姿勢を継続した。とはいえ、新型コロナウイルス感染再拡大が実体経済に悪影響を及ぼす場合には、追加的な財政支援や金融政策が果たす役割への期待が高まることになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率+3.0%とプラスに転じる
2025年4-6月期米GDP:輸入の反動減が押し上げた一方、内需は減速
2025年08月01日
-
FOMC 9月利下げに向けて含みを持たせる
インフレ統計の歪みと雇用統計の弱含みに注目
2025年07月31日
-
米国経済見通し 関税激化はいつまでか
米国内の不満の高まりを受け、関税激化の長期化は考えにくい
2025年07月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日