サマリー
◆米国では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い急速に悪化する米国景気に対する経済対策の一環として、コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act:CARES法) が2020年3月27日にトランプ大統領の署名により成立した。
◆CARES法の中でも特に企業の関心が高く、投資家からも注目されているのは、新型コロナウイルスの影響により企業等に生じる損失を救済する措置として、財務省が、①航空会社や国家安全保障を維持する上で重要な企業および②FRBが企業、州、地方政府支援のため設立するプログラムやファシリティに対して、最大5,000億ドルの資金提供を可能とする同法第4章である。
◆ローン等を受けた一定の企業は、原則としてローン借入期間と返済後1年間は、①CARES法施行時点での契約上の義務がない限り、自己株式の取得は制限され、②普通株式に対して配当金を支払ったり、その他の資本分配を行ったりしてはならない。また、2019年中の合計報酬が425,000ドル超の役職員は、2019年中に受け取った合計報酬を超える報酬を受領することは認められないなどの報酬制限も課される。
◆現時点で、FRBが設立するプログラムやファシリティを通じた企業支援策については、ガイダンスなどの詳細な条件やFAQなどについては公表されていないものも多く不明確な点もあり、今後明らかになることが期待される。とりわけ、財務省による支援には当然のことながら税金が使われるため、連邦準備法13条3項の要件である「納税者を損失から保護」するために、どのように詳細な条件が設定されるのかが注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年の米金融政策の注目点
利下げタイミングや回数、中立金利の変化、次期議長の影響に注目
2025年12月26日
-
米GDP 前期比年率+4.3%と加速
2025年7-9月期米GDP:個人消費が全体をけん引
2025年12月24日
-
2026年の米国経済見通し
底堅くも脆い「K字経済」は続く
2025年12月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

