サマリー
◆2月3日に始まった民主党の大統領候補者選挙は混戦模様である。サンダース氏がやや優勢に映るが、大統領候補の本命と位置付けるのは早計である。民主党候補者をリベラル派(サンダース氏等)と中道派(バイデン氏等)に分ければ、中道派の方が得票率・支持率は高い。今後戦局が大きく動くとすれば、ウォーレン氏の撤退だろう。ウォーレン氏が撤退した場合には、支持票の相当程度がサンダース氏に流れる可能性がある。
◆民主党が候補者選挙一色になる中、トランプ大統領は2021年度の予算教書を議会に提出した。内容は防衛費を強化する一方、非防衛費・義務的経費を抑制し、2030年までに財政赤字の縮小を目指すものである。ただし、民主党による反対等を踏まえれば、予算教書通りに財政赤字は減少せず、財政リスクは高まると考えられる。財政リスクの高まりという観点では、サンダース氏の政策パッケージの財源不足が懸念される。大統領選挙本選になれば、財源不足や財政リスクの高まりはトランプ大統領にとってサンダース氏等を批判する格好の材料となるだろう。
◆米国経済の見通しに関して、大和総研は2020年の実質GDP成長率を前年比+2.0%で据え置く。個人消費と住宅投資が主導し、米中貿易摩擦の緩和が企業マインドを改善させ、設備投資の再開機運が高まっていくことが期待される。ただし、新型コロナウイルスの蔓延に伴う世界経済の下振れがリスク要因である。2020年1-3月期の実質GDP成長率はやや下振れすると見込むが、一時的要因と想定し、4-6月には反発すると見込む。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国、設備投資費用の即時償却を復活・拡張
製造業・情報産業の新規投資、及び対米直接投資の増加要因か
2025年10月07日
-
米国経済見通し 利下げ再開後の注目点は?
景気下振れリスクが懸念される時こそ、インフレ動向を注視すべき
2025年09月24日
-
FOMC 0.25%ptの利下げを決定
先行きの利下げペースに関しては予想がばらつく
2025年09月18日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日