サマリー
◆2019年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.1%と前期から横ばいとなり、市場予想通りとなった。2019年の実質GDP成長率は前年比+2.3%と前年に比べて伸びが鈍化したが、潜在成長率が+2%程度であることを踏まえれば巡航速度の範囲といえる。
◆米国経済の屋台骨である個人消費は、ホリデーシーズンといった追い風を考えれば、幾分物足りない結果であった。住宅投資は加速したものの、設備投資は冴えないままである。実質GDPの増加に最も大きく寄与した純輸出の増加は、輸出増ではなく輸入減によるものであり、良い結果とはいえない。
◆米国経済の先行きに関して、個人消費と住宅投資が主導する構図は変わらない。米中貿易摩擦の緩和は企業マインドを改善させ得るが、低水準の設備稼働率を踏まえれば、設備投資の回復は緩やかに進展すると予想する。結果的に、潜在成長率並みの成長が続くと考える。ただし、中国で蔓延する新型コロナウイルスに伴う世界経済の下振れリスクが企業マインドを冷やし、米国経済に悪影響をもたらし得る点に留意が必要だろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日