サマリー
◆2019年9月17・18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来の2.00-2.25%から0.25%pt引き下げ、1.75-2.00%にすることが決定された。前回(7月30・31日)に引き続き、年内2回目の利下げの実施となる。
◆今回のFOMCで最も注目されていたのは、年内の更なる利下げの蓋然性であった。FOMC参加者の政策金利見通し(ドットチャート)からは、年内の再利下げは確約されなかった。2019年末の中央値は現状の政策金利水準で維持され、ドットチャートの形状も再利下げ、維持、利上げがそれぞれ存在し、FOMC参加者の中でも意見が分かれていることが示された。
◆こうした中、パウエルFRB議長は声明文発表後の記者会見で、マーケット参加者による際限ない利下げ期待を抑制しつつ、利下げ期待の縮小によってマーケットが急激な調整を引き起こさないようにするために苦心する姿が見られた。
◆今後の金融政策運営を考える上で、利下げを推し進める要因として不確実性の高まり(米中通商交渉の行方など)、利下げを制約する要因として物価上昇(エネルギー価格による押し上げ)が注目される。また、16・17日に発生した短期金融市場における流動性のひっ迫から、FRBによる流動性供給に関する議論も登場している。サポーティブな金融環境を維持する上で、利下げの蓋然性に加えて、こうした市場への流動性供給に関する議論の行方が、残る年内2回のFOMCに向けた注目点となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米失業率は4.6%に上昇
2025年10・11月米雇用統計:政府閉鎖の影響を踏まえ、慎重な評価が必要
2025年12月17日
-
米銀最大手、9.7兆ドルの国債保有増加余地
レバレッジ比率緩和、米国国債市場の機能改善をもたらすか
2025年12月16日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

