サマリー
◆2019年6月の非農業部門雇用者数は前月差+22.4万人と市場予想(Bloomberg調査)の+16.0万人を大きく上回った。前月の急減速から再加速へと転じたことから、米国経済の減速懸念を緩和するサプライズな結果となった。
◆家計調査による失業率は、横ばいを見込んでいた市場予想(Bloomberg調査)よりも0.1%pt高い3.7%となった。非労働力人口の減少による労働参加率の上昇が失業率を押し上げる要因となった。賃金に関しては、6月の民間部門の平均時給は前月比+0.2%、前年比ベースの変化率も+3.1%の上昇と、いずれも市場予想を小幅に下回った。足元において、低水準の失業率に照らすと、賃金は緩やかな上昇が続いている。
◆雇用統計の好調な結果を受け、FOMCの次回会合(7月30-31日)における0.50%ptの大幅な利下げ、というマーケット参加者の期待は低下した。次の焦点は、マーケット参加者が依然として既定路線ととらえる、次回会合での利下げ自体の妥当性となろう。金融政策の行方を巡り、個別のデータや短期的なセンチメントの振れに過剰反応せず、次に控えている統計発表の見極めが重要となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日