FOMC 利上げサイクルはあと1回で終了

B/S縮小は9月末に停止、総じてハト派的な結果

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2019年03月22日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2019年3月19日~3月20日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来通りの2.25-2.50%で据え置くことが決定された。前回、1月のFOMCにおいて、当面の政策変更に対して「忍耐強くなる(will be patient)」との姿勢が示され、金融市場では金利据え置きが確実視されていたため、決定内容にサプライズはない。

◆また、今回のFOMCでは、2017年10月から進められてきたバランスシート縮小を、2019年9月末で停止することが決定された。1月のFOMCの段階でバランスシート縮小の年内停止がFOMC参加者内でのコンセンサスとなっていたことが議事要旨によって明らかとなっており、バランスシート縮小が決定されたことに関してサプライズはない。ただし、停止時期が2019年末ではなく、9月末となったことについては想定よりも早く、ハト派的な印象である。

◆FOMC参加者の政策金利の見通し(ドットチャート)では、2019年末の中央値は2.375%と、前回見通しの2.875%から▲0.500%pt低下し、2019年内は利上げを見送るのがコンセンサスとなった。また、2020年末、2021年末時点の政策金利見通しはいずれも2.625%となり、2020年の1回の利上げで利上げサイクルを停止する見通しが示された。

◆声明文では、政策変更に対して「忍耐強くなる」というスタンスが維持されたが、パウエル議長は会見において利上げ・利下げの双方に対して「忍耐強くなる」という見方を強調した。政策金利はおおよそ中立的な水準に達しており、今後、FOMC参加者が想定する以上に景気が上振れすれば追加利上げが検討される一方、景気やインフレ率の下振れ懸念が高まれば、利下げに動く必要がある。金融政策の先行きを見極めるためには、これまで以上に丹念に経済指標を注視していくほかない。

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