サマリー
◆2019年3月19日~3月20日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来通りの2.25-2.50%で据え置くことが決定された。前回、1月のFOMCにおいて、当面の政策変更に対して「忍耐強くなる(will be patient)」との姿勢が示され、金融市場では金利据え置きが確実視されていたため、決定内容にサプライズはない。
◆また、今回のFOMCでは、2017年10月から進められてきたバランスシート縮小を、2019年9月末で停止することが決定された。1月のFOMCの段階でバランスシート縮小の年内停止がFOMC参加者内でのコンセンサスとなっていたことが議事要旨によって明らかとなっており、バランスシート縮小が決定されたことに関してサプライズはない。ただし、停止時期が2019年末ではなく、9月末となったことについては想定よりも早く、ハト派的な印象である。
◆FOMC参加者の政策金利の見通し(ドットチャート)では、2019年末の中央値は2.375%と、前回見通しの2.875%から▲0.500%pt低下し、2019年内は利上げを見送るのがコンセンサスとなった。また、2020年末、2021年末時点の政策金利見通しはいずれも2.625%となり、2020年の1回の利上げで利上げサイクルを停止する見通しが示された。
◆声明文では、政策変更に対して「忍耐強くなる」というスタンスが維持されたが、パウエル議長は会見において利上げ・利下げの双方に対して「忍耐強くなる」という見方を強調した。政策金利はおおよそ中立的な水準に達しており、今後、FOMC参加者が想定する以上に景気が上振れすれば追加利上げが検討される一方、景気やインフレ率の下振れ懸念が高まれば、利下げに動く必要がある。金融政策の先行きを見極めるためには、これまで以上に丹念に経済指標を注視していくほかない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+13.9万人
2025年5月米雇用統計:緩やかな悪化に留まっていることを示唆
2025年06月09日
-
米国経済見通し 米中デタントも、景気は減速へ
財政悪化と学生ローン政策の変更が景気を一層減速させるリスク要因
2025年05月23日
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日