米国経済見通し FRBのハト派姿勢が下支え

バランスシート縮小は年内にも停止、政治不安は引き続きリスク

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2019年02月21日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2月14日にトランプ大統領が超党派による予算案に署名、成立したことで、政府機関の再閉鎖は回避されることとなった。予算が成立したことにより、当面の政府閉鎖の可能性がなくなったことは経済にとってポジティブな材料と考えられる。

◆しかし、トランプ大統領は南部国境への壁建設費用を捻出するため、非常事態宣言を発動した。これによって、トランプ政権と民主党との対立は一層深まることとなり、政策を巡る不透明感は、引き続き家計や企業のマインドの重石になる可能性があろう。

◆一方、米国経済における足下の好材料として、FOMC(連邦公開市場委員会)参加者がハト派的なスタンスを強めていることが挙げられる。1月のFOMCの声明文では、政策金利の調整に「忍耐強くなる(will be patient)」とされ、当面、利上げは見送られる公算が大きく、長期金利は低位での推移が続いている。

◆また、1月のFOMCの議事要旨では、ほぼ全ての参加者が2019年内にもバランスシート縮小を停止させることが望ましいと考えていることが明らかとなり、2017年10月に開始されたバランスシートの正常化は早晩、終了する可能性が高い。早ければ、次回、3月のFOMCにも具体的な方針が示されることになろう。

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