サマリー
◆2019年1月29日~1月30日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来通りの2.25-2.50%で据え置くことが決定された。金融市場では、今回会合での金利据え置きが確実視されていたため、決定内容にサプライズはない。
◆声明文では、今後の金融政策運営に関する部分が大幅に変更された。世界経済、金融市場動向、インフレ圧力の沈静化を考慮し、「どのようなFFレートの誘導目標レンジの将来的な調整が適切かを決める際に、委員会は忍耐強くなるだろう(the Committee will be patient)」と、当面の利上げ見送りが示唆され、政策スタンスは従来の声明文よりもハト派的なものとなった。
◆また、今回のFOMCでは、通常の声明文に加えて、FRBのバランスシート正常化に関する声明文が別紙で公表された。これまで「オートパイロット」で続けるとしてきたバランスシート縮小を、経済、金融市場の動向によって柔軟に運用することが示され、こちらもハト派的な内容と言える。
◆今回のFOMCは総じてハト派的な内容となったが、パウエル議長は、利上げサイクル終了なのか、一時停止なのかという点については明言を避け、あくまで今後の経済指標次第というスタンスを貫いた。2019年後半にかけて、経済、インフレ率が再加速する可能性が十分にあることを踏まえれば、今回のFOMCの結果を以て、利上げサイクルが打ち止めであると判断するのは時期尚早だろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日