FOMC 利上げは当面見送り

バランスシート縮小も「オートパイロット」から柔軟な運用へ

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2019年01月31日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2019年1月29日~1月30日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来通りの2.25-2.50%で据え置くことが決定された。金融市場では、今回会合での金利据え置きが確実視されていたため、決定内容にサプライズはない。

◆声明文では、今後の金融政策運営に関する部分が大幅に変更された。世界経済、金融市場動向、インフレ圧力の沈静化を考慮し、「どのようなFFレートの誘導目標レンジの将来的な調整が適切かを決める際に、委員会は忍耐強くなるだろう(the Committee will be patient)」と、当面の利上げ見送りが示唆され、政策スタンスは従来の声明文よりもハト派的なものとなった。

◆また、今回のFOMCでは、通常の声明文に加えて、FRBのバランスシート正常化に関する声明文が別紙で公表された。これまで「オートパイロット」で続けるとしてきたバランスシート縮小を、経済、金融市場の動向によって柔軟に運用することが示され、こちらもハト派的な内容と言える。

◆今回のFOMCは総じてハト派的な内容となったが、パウエル議長は、利上げサイクル終了なのか、一時停止なのかという点については明言を避け、あくまで今後の経済指標次第というスタンスを貫いた。2019年後半にかけて、経済、インフレ率が再加速する可能性が十分にあることを踏まえれば、今回のFOMCの結果を以て、利上げサイクルが打ち止めであると判断するのは時期尚早だろう。

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