サマリー
◆2018年11月の非農業部門雇用者数は前月差+15.5万人と前月から伸びが大きく減速する結果となった。しかし、完全雇用下で労働力の増加を吸収するために必要な雇用者数の伸びが同+10万人程度であることを踏まえれば、減速しつつも雇用者数の増加ペースは十分底堅いと捉えるべきであり、過度に悲観的になる必要はないだろう。
◆家計調査による11月の失業率は、前月から横ばいの3.7%となり、市場予想通りの結果であった。また、就業率は60.6%、労働参加率は62.9%と、いずれも前月から横ばいであり、労働市場全体として概ね前月と同様の状態が保たれる結果であった。
◆11月の民間部門の平均時給は前年比+3.1%と、前月と同程度の伸びとなり、市場予想に一致する一方、前月比では+0.2%と、市場予想(同+0.3%)を下回った。ただし、前月比変化率は10月からは加速しており、賃金は緩やかながら安定的な上昇基調が続いている。
◆2019年以降は、税制改革の効果が剥落するため、企業収益の増加率や経済成長率は鈍化する可能性が高い。加えて、海外経済の減速懸念の高まりや、貿易摩擦を巡る不透明感なども、企業の採用意欲を低下させる可能性があろう。
◆一方で、仮に企業の採用意欲が堅調さを維持したとしても、人手不足が雇用者数増加のボトルネックとなろう。いずれにせよ、雇用者数の増加ペースの鈍化が続く可能性は高まっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日