サマリー
◆6月上旬を最後に途絶えていた米中通商協議が8月の22日~23日に再開されることになったのは、貿易摩擦の解決に向けた前向きな動きと言える。だが、6月には関税を棚上げにするという合意を無視して、米国が関税の導入に踏み切ったという経緯があることを踏まえると、今後の交渉に楽観的になるべきではないだろう。
◆ISMレポートなどの企業サーベイでは、関税措置による輸入コストの上昇を懸念するコメントは明らかに増加傾向にある。ただし、実際の輸入コストについては、ドル高の進行が関税による影響を一部相殺することで、今のところは急速な上昇には至っていない。
◆足下でドル高傾向が続いている最大の要因は、堅調な米国経済動向を背景にFRBが着実に利上げを進めていることであろう。加えて、足下の貿易摩擦の高まり自体がドル高の一因になっている可能性がある。
◆現状、関税によるコストの増加が企業部門の最大の関心事項になっているため、ドル高に関心が集まりづらい状況にあると考えられる。しかし、ドル高の進行は輸出産業の競争力を低下させるため、景気を下押しする要因としてドル高の影響にも十分注意を払っていく必要があろう。
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