サマリー
◆2017年11月の非農業部門雇用者数は前月差+22.8万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+19.5万人)を上回った。8月末から9月の大型ハリケーンによる影響でこのところ雇用者数の振れが大きくなっていたが、均して見れば雇用者数は底堅いペースでの増加が続いている。
◆11月の失業率は前月から横ばいの4.1%となり、市場予想通りの結果となった。失業率は引き続き低水準にあり、労働需給は非常にタイトな状況が続いていると言える。失業率変化の内訳を見ると、人口増加が失業率を押し上げる要因となる一方、就業者数の増加(前月差+5.7万人)に加えて、非労働力人口が同+3.5万人と増加したことが失業率を押し下げ、失業率全体としては横ばいを維持した。
◆11月の民間部門の平均時給は前月から5セント上昇、前月比+0.2%と2ヵ月ぶりの上昇に転じたものの、市場予想(同+0.3%)を下回る結果となった。民間部門時給の前年比変化率は+2.5%となり、前月の同+2.3%から加速する形とはなったが、賃金上昇率の再加速への期待感が高まっていた2017年7-9月期に比べると伸び率は小さく、力強さを欠く状態が続いている。
◆今回の雇用統計では、賃金の上昇は小幅に留まったことから、FRB(連邦準備制度理事会)が2%のインフレ目標達成への自信を強めるような結果であったとは言い難い。しかし、今回の雇用統計公表後も、12月12日~13日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げは、高い確率で金融市場に織り込まれている。12月のFOMCでは2017年3回目の利上げが決定される可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+13.9万人
2025年5月米雇用統計:緩やかな悪化に留まっていることを示唆
2025年06月09日
-
米国経済見通し 米中デタントも、景気は減速へ
財政悪化と学生ローン政策の変更が景気を一層減速させるリスク要因
2025年05月23日
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日