FOMC バランスシート縮小の開始を決定

2017年内にもう1回の利上げ見通しを維持

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2017年09月21日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2017年9月19日~20日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来通りの1.00-1.25%で据え置くことが決定された。一方、FRB(連邦準備制度理事会)が保有する資産の規模に関して、10月から縮小を開始することが決定された。金融市場では今回のFOMCでのバランスシート縮小の開始決定が確実視されていたため、決定内容にサプライズはない。


◆声明文の内容を見ていくと、前回会合の声明文からの修正は総じて軽微であった。経済全体の現状認識は、「労働市場は改善を続け、経済活動は今年のこれまでのところ緩やかに拡大している」という表現が据え置かれた。経済の先行きに関する部分では、ハリケーンの影響に関する記述が追加されたが、影響は一時的とされ、緩やかな景気拡大、労働市場の更なる改善が続くという見方が維持されている。


◆今回のFOMCにおける最大の注目点であったFOMC参加者の政策金利の見通しを見ると、2017年末の中央値は1.375%と、6月時点の見通しから変わらず、年内にあと1回の利上げを見込む結果となった。また、2018年末時点の中央値は2.125%と、前回見通しから変わらず、中央値ベースでは3回の利上げを見込んでいる。ただし、平均値で見れば前回見通しからわずかに低下(前回:1.375%→今回:1.328%)しており、2018年の利上げペース見通しは幾分引き下げられたと言える。


◆声明文公表後の記者会見でイエレン議長は、2017年に入ってインフレ率が鈍化していることを「不可解(mysterious)」と表現した。労働需給のひっ迫が物価上昇圧力となるという従来の枠組み自体に対する疑念が、FOMC参加者内で高まっており、追加利上げを行うためには、実績としてインフレ率の加速が確認される必要があろう。

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