サマリー
◆2017年8月の非農業部門雇用者数は前月差+15.6万人となり、前月の同+18.9万人から増加幅が縮小、市場予想(Bloomberg調査:同+18.0万人)を下回った。ただし、3ヵ月移動平均は同+18.5万人と、前月から増加幅が拡大しており、均して見た雇用者数の増加ペースは落ち込んでいない。また、8月単月の雇用者数の伸びも、人口増による労働力人口の伸びを吸収するには十分であり、悲観視する必要はない。
◆8月の失業率は、前月から横ばいを見込んでいた市場予想に反して、前月差+0.1%pt上昇の4.4%となった。失業率の内訳を見ると、非労働力人口の増加が失業率を押し下げる一方で、就業者数が同▲7.4万人と3ヵ月ぶりの減少に転じたことが失業率を押し上げた。
◆8月の民間部門の平均時給は前月から3セント上昇、前月比+0.1%と小幅な伸びとなり、市場予想(同+0.2%)を下回る結果となった。前年比変化率は+2.5%と、ここ5ヵ月間同じ伸びが続いており、伸び率の鈍化に歯止めは掛かっていると言えるが、一方で再加速する兆しも依然見られていない。
◆FOMCメンバーはFRBのバランスシート縮小に関して、早期に着手すべきとの見方を示してきたが、今回の雇用統計はそうした判断に大きな影響は与えないと考えられる。9月末で期限を迎えるとみられる連邦債務上限、2018年度予算の議論が紛糾し、財政不安が高まるようなことがない限り、9月のFOMCでバランスシート縮小の開始が決定される公算が大きい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
GENIUS法、銀行とステーブルコインの邂逅
ステーブルコインは支払決済手段として普及するのか?
2025年08月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日