FOMC 1-3月期の景気減速は一時的との評価

全会一致で政策金利を据え置き、景気の先行きに対する見方は不変

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2017年05月08日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2017年5月2日~5月3日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.75-1.00%で据え置かれることが全会一致で決定された。また、FRB(連邦準備制度理事会)が保有する資産の規模については、現状の水準を維持することが決定された。


◆利上げが決定された前回3月のFOMCからまだ日が浅いことに加えて、今回のFOMCでは経済見通しの公表、およびイエレン議長による記者会見がないことから、市場では政策金利の据え置きが見込まれていた。注目度が高まるバランスシート縮小に関しての追加的な情報が声明文に盛り込まれなかった点についてもサプライズはない。


◆今回の声明文では、経済全体の現状認識は「経済活動の成長が鈍化する中でも、労働市場は改善を続けている」とされ、1-3月期のGDP成長率の減速を踏まえて判断が下方修正された。一方で、「第1四半期の成長の減速は一時的である可能性が高いとみている」という一文が付け加えられ、先行きについては緩やかな景気拡大が続くという見方が維持されている。


◆今回のFOMCの声明文では、6月の利上げを直接示唆するような文言は盛り込まれず、政策の自由度を確保する内容となった。利上げペースは経済指標次第というスタンスは基本的には変わっておらず、今後出てくる経済統計を踏まえつつ、必要に応じて口先介入によって利上げを市場に織り込ませる可能性は十分に考えうる。


◆今回の声明文では1-3月期の景気減速が一時的であるということが明示されたことから、FOMC参加者は4-6月期の成長率の再加速を見込んでいると考えられる。1-3月期の景気減速の主因は個人消費の減速であったため、今後公表される、小売売上高などの個人消費関連指標が堅調な結果となることが6月利上げ実施の条件になろう。

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