米FRBのバランスシート縮小は早期着手か

保有債券の残存期間短期化と銀行券発行残高の増加

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2017年03月02日

  • 土屋 貴裕

サマリー

◆QE3(量的緩和第3弾)による新規の債券買い入れを停止した米FRB(連邦準備制度理事会)のバランスシートは、総額と資産構成に大きな変化はない。


◆新規の買い入れ停止後、時間が経過して保有する債券の残存期間が短期化している。QE3終了後の経過期間ほど短期化していないが、再投資によってデュレーションを維持することは行っていないとみられる。


◆負債サイドでは、銀行券発行残高が増えて、バランスシートを縮小すべき幅は小さくなっていることになる。また、リバースレポの利用が増えていることは、さらなる利上げ時に弊害を招く懸念があり、FRBにはバランスシートの縮小ニーズがある。


◆FRB保有分の債券は、市場における相対的な位置づけが低下し、再投資減額のインパクトは小さくなっていくとみられるが、バランスシート縮小の影響は、MBS市場で相対的に大きくなる可能性がある。


◆FRBにバランスシートを縮小させたいというニーズがあり、縮小すべき幅は徐々に小さくなって、市場の動揺を招く懸念は低下している。保有債券の満期が相次いで到来することは好機であり、バランスシート縮小に着手する時期は近づいていると考えられる。

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