米国経済見通し 個人消費の加速と不透明感

緩やかな回復軌道を描いているが、労働市場や政治に不透明感

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2016年06月21日

  • 土屋 貴裕
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆米国経済の現状は、労働市場の先行きに不透明感が台頭する一方で、個人消費は足下で加速の動きが見られており、住宅市場と合わせて堅調である。企業部門に関しては、製造業の企業マインドが徐々に持ち直しつつある一方で、非製造業のマインドには減速が見られている。


◆労働市場の改善ペースが急減速したことを受けて、6月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、想定通り利上げは見送られた。経済と金融政策の先行きを見通すにあたり、5月の雇用統計の落ち込みが一時的であったか否かを確認する必要がある。


◆大統領選で民主党のヒラリー・クリントン前国務長官が指名を確実にした。今後は各党の副大統領候補選びが始まり、候補者の政策内容が明らかになる見込みである。民主・共和両党は、本選に向けて挙党態勢を固めるため、主張や政策の方針を調整するだろう。金融政策にも影響は及び、先行き不透明感が払拭されるまで時間がかかる可能性もある。


◆5月までの経済統計を踏まえると、4-6月期の個人消費は高い伸びとなる公算が大きく、輸出についても底打ちの兆しが見られていることから、4-6月期のGDP成長率は1-3月期から加速すると見込まれる。個人消費主導の成長が続くというシナリオに変更はない。

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