サマリー
英国のEU残留・離脱を問う国民投票は、同国の国の形を決める重要な分岐点となり得るものであり、その結果が統合欧州の今後を大きく左右する可能性を持つ。結果がどちらに転ぶにせよ、二分された世論が生む社会的亀裂が深刻な後遺症を残す恐れもある。ただし、離脱に伴う経済的インパクトはいささか誇張されてきたように思える。残留派が喧伝してきたように、英国の経済規模が有意に縮小するとしても、それは例えば英国が失う金融ビジネスが、そのままこの世から消えてしまうことを意味するわけではない。最近のグローバル金融市場は、残留優位に買い、離脱優位に売りという反応を示してきたが、やや長い目で見れば、この間のアップダウンはトレンドの中に埋もれてしまう可能性が高い。当面のグローバル経済へのインパクトでは米国景気の行方がはるかに重い意味を持つ。さしあたっての焦点は、雇用、賃金、消費の関係であろう。消費拡大の支えが雇用者数から一人当たり賃金にシフトしつつあるとすれば、米国景気拡大の持続性に対する懸念をより強めざるを得なくなる。世界を先進国と新興国に二分すれば先進国優位、先進国の中では米英堅調、日欧(ユーロ圏)停滞という構図が続いてきた。ユーロ圏経済が低成長ながらも安定的であるなど、ダウンサイドリスクが高じてきたとも考え難いが、世界経済がけん引役を失うシナリオの現実味が増しているようにみえる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
L字型をたどる中国経済、縦棒はまだ続く
絶好調だった住宅販売もピークアウトか
2016年06月21日
-
欧州経済見通し 雇用改善が消費を下支え
英国民投票の結果如何にかかわらず政治リスクは残る
2016年06月22日
-
米国経済見通し 個人消費の加速と不透明感
緩やかな回復軌道を描いているが、労働市場や政治に不透明感
2016年06月21日
-
日本経済見通し:何故、個人消費は低迷しているのか?
国内要因が景気下支え役となるが、海外発の景気下振れリスクは残存
2016年06月21日
同じカテゴリの最新レポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
-
2026年8月機械受注
製造業・非製造業(船電除く)のいずれも2カ月ぶりに増加
2026年10月15日
最新のレポート・コラム
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
-
「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」における金融経済教育に関する記述
金融経済教育関連に限ると、大幅な拡充は行われない方向性か
2026年10月16日
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
-
成長投資の先にあるもの ~AI時代に問われる「組織能力」~
2026年10月16日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

