サマリー
◆2016年6月14日-15日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.25-0.50%で維持する決定が行われた。5月の雇用統計における非農業部門雇用者の増加ペースが急減速したことを受けて、今回のFOMCでは利上げを見送るとの見方が市場の大勢を占めていたため、政策金利の据え置きは想定通りの結果である。
◆声明文では、個人消費の持ち直しを主因に経済の現状認識が上方修正された。一方、経済の現状認識以外の部分に関しては、前回会合からほぼ変更されておらず、次回以降の利上げに関するヒントは明示されなかった。
◆FOMC参加者の政策金利の見通しを見ると、2016年については0.25%ptずつの利上げであれば、2回の利上げを見込んでおり、前回見通しから変わっていない。他方、2017年、2018年は年間3回の利上げを見込む形となり、利上げペースは前回見通しで提示されていたものよりも緩やかなものとなった。
◆次の政策変更に向けたフリーハンドを維持した格好であるが、再利上げの必要性は低下気味である。再利上げには将来に向けてインフレ率が上昇していくことを期待させるような労働市場の力強さが求められる。7月のFOMCまでに6月分の雇用統計などの結果が望ましいものであれば、利上げ判断に至る可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 0.25%pt利下げとQT一部停止を決定
先行きは過度な利下げ期待は禁物
2025年10月30日
-
トランプ2.0で加速する人手不足を克服できるか
~投資増による生産性向上への期待と課題~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
米国経済見通し 過去とは異なる政府閉鎖
政府閉鎖による悪影響は従来よりも長期化する恐れ
2025年10月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

