FOMC 慎重な利上げスタンス維持

経済の現状認識は下方修正だが先行きへの信認は失わず

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2016年04月28日

  • 土屋 貴裕
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2016年4月26日-27日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、FF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.25-0.50%で維持する決定が行われた。今回のFOMCでは利上げ見送りとの見方が市場の大勢を占め、想定通りの結果である。


◆声明文では、個人消費とインフレに対する現状認識が下方修正された。ただし、労働市場を中心とした個人消費のファンダメンタルズの底堅さを背景に、経済の先行きに対する見方はほとんど修正されなかった。また、3月のFOMCにおいて利上げを先送りする最大の要因となった海外経済と金融動向のリスクに関する表現は削除された。


◆FOMCメンバーは、海外経済、金融動向への懸念を後退させ、個人消費を中心とした米国経済の先行きの強さに対する信認は失っていないことから、緩やかな利上げ継続へのスタンスを維持しているとみられる。6月に追加利上げを行う可能性は十分に残されていると言えよう。


◆インフレ動向への評価が課題であることは変わらず、今後は実績としてのインフレ率の上振れ、ないしはインフレを押し上げるのに十分と考えられる個人消費の力強さや賃金の上昇が確認される必要があろう。

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