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増える雇用と伸び悩む賃金

業種別動向から見る米国労働市場の先行き

2016年01月20日

経済調査部 シニアエコノミスト 橋本 政彦

サマリー

◆高水準を維持する求人率を業種別に見ると、とりわけ足下で好調なのは専門・企業向けサービス、小売、教育・医療、レジャー・娯楽などのサービス業であり、製造業や建設業などでは過去に比べて目立って求人が増加しているわけではない。


◆サービス業を中心とした高水準の求人によって、雇用の伸びは当面維持されるとみられる。ただし、専門・企業向けサービスでは、労働供給不足が顕在化しつつあり、雇用の伸びが抑制される可能性がある。


◆専門・企業向けサービスは労働時間が過去に比べて長く、労働時間延長の余地が小さい。また、パートタイム比率の高い小売、レジャー・娯楽ではオバマケアによる保険料負担を避けるため労働時間の延長に対して慎重な姿勢が続くとみられる。労働需給がひっ迫する中でも、労働時間の延長は限定的となるだろう。


◆業種別に見た労働需給と賃金の間には明確な関係性は見られず、労働需給がひっ迫した業種の賃金が上がりやすいとは限らない。むしろ、労働需給がひっ迫する業種においては労働生産性が低下しやすく、賃金上昇が抑制される可能性もあろう。また、相対的に労働生産性、賃金水準が低い、個人消費関連サービス業で特に雇用者数が増加するとみられ、経済全体の平均賃金は上昇しづらい状況が続く公算である。


◆賃金が伸び悩む中でも、個人消費関連サービス業を中心とした雇用者数の拡大によって、雇用者所得は堅調に推移するとみられる。所得と個人消費の循環的な増加が今後も続くことで、米国経済は底堅い成長が続くだろう。

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