サマリー
◆米国経済の回復ペースの鈍化傾向が強まっている。暖冬などの特殊要因によって一時的に押し上げられていた部分が剥落し実態が分かりにくくなっていたが、特殊要因の剥落分を除いたとしても、景気は下ブレの可能性が高まっていると考えられよう。構造的なリスクとしては、2012年末から2013年初にかけて、ブッシュ減税の期限切れと大幅な歳出削減が同時に起こる、いわゆる“財政の崖”(Fiscal Cliff)と、外部要因としての欧州の財政問題が挙げられる。GDP成長率のコンセンサス予想は、さらに慎重になっており、“財政の崖”への警戒感が年後半の成長率を抑制することが懸念材料として挙げられている。
◆足もとは、雇用環境の改善ペースがさらに緩慢なものとなってきたことから個人消費は減速しているが、さらに財政問題等の先行き不透明感から消費者のセンチメントは悪化している。住宅価格下落の影響が軽微で、資金調達が可能な主体にとっては、住宅を購入する絶好の機会であり、住宅市場の改善が続いている。企業でも製造業を中心にマインドの悪化が明確だが、実際の企業活動はそれほど鈍化しているわけではない。だが、構造問題によって企業活動が鈍ると、改善ペースが鈍っている労働市場にも影を落とすことが想定されるだろう。“財政の崖”に対し、マーケットが議会の対応にネガティブな反応をみせると、市場の混乱がさらなるマインドの悪化等を通じて、実体経済の下押し圧力に転じる可能性が考えられる。
◆足もとは、雇用環境の改善ペースがさらに緩慢なものとなってきたことから個人消費は減速しているが、さらに財政問題等の先行き不透明感から消費者のセンチメントは悪化している。住宅価格下落の影響が軽微で、資金調達が可能な主体にとっては、住宅を購入する絶好の機会であり、住宅市場の改善が続いている。企業でも製造業を中心にマインドの悪化が明確だが、実際の企業活動はそれほど鈍化しているわけではない。だが、構造問題によって企業活動が鈍ると、改善ペースが鈍っている労働市場にも影を落とすことが想定されるだろう。“財政の崖”に対し、マーケットが議会の対応にネガティブな反応をみせると、市場の混乱がさらなるマインドの悪化等を通じて、実体経済の下押し圧力に転じる可能性が考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
米銀最大手、9.7兆ドルの国債保有増加余地
レバレッジ比率緩和、米国国債市場の機能改善をもたらすか
2025年12月16日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
米国経済見通し 関税政策はマイルド化へ
トランプ大統領に対する世論と共和党内の不満の高まりが抑止力に
2025年11月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

