Fedのゼロ金利解除は2014年以降にずれ込む公算
景気拡大は確認されるものの、2012~13年の成長率見通しは下方修正
2012年01月26日
サマリー
◆1月24~25日にFOMCが開催され、政策金利を事実上のゼロ金利で据え置く方針を確認した。ただ、今回はこの異例なほど低い金利水準を少なくとも2014年後半まで続けるとして、昨年8月に導入した際の2013年半ばから延長された。4年目に入った超低金利政策を今後も続けていく姿勢を明確にした。そして、9月に決定した、短期国債を売って長期国債を買うことで保有する国債の平均残存期間を長期化するプログラム(オペレーション・ツイスト)を継続する。◆景気の現状認識では、世界経済が減速しているにもかかわらず、米国の景気は緩やかに拡大していると総括している。雇用環境は上方修正されたが、企業の設備投資の認識を下方修正。経済見通しについては、緩やかな成長が続くが、著しいダウンサイドリスクがあるという従来の見解を維持する。改定されたFedメンバーの景気・インフレ見通しでは、2012~13年の成長率予想が下方修正されて失業率の想定は引き下げ。また、初めて発表されたメンバーが考える適切な利上げ時期をみると、2014年以降にゼロ金利解除を想定する割合が全体の約2/3に。一方で、それよりも前という見方も1/3を占めており、メンバー間のバラつきが鮮明になっている。現行政策を維持して様子をみるという点では基本的に前回から変わらないが、現在の緩和状態が長期化することが明らかになり、インパクトは大きい。ただ、先行きの不透明さを払拭するという目的を達したかは、メンバー間の違いが明らかになっただけに判然としない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2012年03月12日
米国の雇用環境は20万人超のペースで拡大中
2月の雇用統計:非農業雇用者数は22.7万人増、失業率は8.3%で横ばい
-
2012年01月30日
2011年Q4の米国経済は高成長だが、内容が悪い
2011年は実質1.7%成長に
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月28日
コロナ禍で誰がオンライン消費を始めたか
今回の緊急事態宣言下のオンライン消費は高齢層を含め一段と拡大か
-
2021年01月28日
FOMC 現状は警戒も先行きは楽観
テーパリングの議論に関しては時期尚早と一蹴
-
2021年01月26日
銀行等の業務範囲・5%ルールなどの見直し
銀行制度等WG報告
-
2021年01月25日
2021年のASEAN5経済見通し
景気回復は年後半に加速。懸念が多いタイとフィリピン。
-
2021年01月28日
内閣府中長期試算に見るポストコロナの財政運営の課題
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く