サマリー
◆2011年Q3の経済成長率は前期比年率2.0%増となり、年前半の1%成長から緩やかに拡大。年央に大きく高まった景気後退懸念が和らぐなか、Fedは足もとの景気現状認識を小幅に上方修正した。主たる点は雇用環境の改善であり、消費者マインドの改善を通じて、個人消費をサポートしていくとみられる。年末商戦の見通しの上方修正の動きも。ただ、現状は雇用者数の増加にとどまっており、賃金水準の向上にはつながっていない。フローの所得増加を伴わなければ、個人消費の伸びにも限度があろう。一方、企業活動では、景況感の改善がみられると同時に、実際の生産活動はやや鈍化しており、必ずしも企業が先行きに楽観的になっているわけではないようだ。
◆Fedは今後も緩やかな景気回復が続くという見通しを示しているが、欧州の債務問題が著しい下ブレリスクであると警戒しており、順風満帆のシナリオとは言えない。ただ、欧州危機を強調する形は、裏を返せば、国内には目立ったリスクがないとも解釈できよう。しかしながら、国内的には、年末に期限切れを迎える給与税率の軽減措置延長の最終決着には至っていないなど政策面の不透明さが残っている。2012年は大統領選挙の年であり、膠着状態が益々強まると予想される。
◆Fedは今後も緩やかな景気回復が続くという見通しを示しているが、欧州の債務問題が著しい下ブレリスクであると警戒しており、順風満帆のシナリオとは言えない。ただ、欧州危機を強調する形は、裏を返せば、国内には目立ったリスクがないとも解釈できよう。しかしながら、国内的には、年末に期限切れを迎える給与税率の軽減措置延長の最終決着には至っていないなど政策面の不透明さが残っている。2012年は大統領選挙の年であり、膠着状態が益々強まると予想される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
米経済見通し 2012~13年の下ブレ・上ブレ要因
住宅市場の急回復の蓋然性
2012年01月20日
-
景気認識を上方修正したFedは様子をみることに
欧州の債務問題を著しい下ブレリスクとして、一段と強調
2011年12月14日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日