米経済見通し 2012年、すっきりしない自律回復

燻り続ける欧州危機、国内的には大統領選挙を念頭に駆け引きが続く

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2011年12月20日

サマリー

◆2011年Q3の経済成長率は前期比年率2.0%増となり、年前半の1%成長から緩やかに拡大。年央に大きく高まった景気後退懸念が和らぐなか、Fedは足もとの景気現状認識を小幅に上方修正した。主たる点は雇用環境の改善であり、消費者マインドの改善を通じて、個人消費をサポートしていくとみられる。年末商戦の見通しの上方修正の動きも。ただ、現状は雇用者数の増加にとどまっており、賃金水準の向上にはつながっていない。フローの所得増加を伴わなければ、個人消費の伸びにも限度があろう。一方、企業活動では、景況感の改善がみられると同時に、実際の生産活動はやや鈍化しており、必ずしも企業が先行きに楽観的になっているわけではないようだ。

◆Fedは今後も緩やかな景気回復が続くという見通しを示しているが、欧州の債務問題が著しい下ブレリスクであると警戒しており、順風満帆のシナリオとは言えない。ただ、欧州危機を強調する形は、裏を返せば、国内には目立ったリスクがないとも解釈できよう。しかしながら、国内的には、年末に期限切れを迎える給与税率の軽減措置延長の最終決着には至っていないなど政策面の不透明さが残っている。2012年は大統領選挙の年であり、膠着状態が益々強まると予想される。

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