米経済見通し GDP ショックで大幅下方修正
2011年を1.7%成長と予想するが、下ブレリスクは存在
2011年08月19日
サマリー
◆2011年Q2の実質GDP成長率は前期比年率1.3%増とプラス成長になったが、0.4%増に下方修正されたQ1とともに、景気が大幅に減速していることを示している。2011年前半が1%成長にとどまった象徴が個人消費の弱さであり、特にQ2は事実上のゼロ成長だった。消費だけでなく、在庫や輸入などその他の需要項目にサプライチェーンの混乱の影響がみられた。◆予想を大きく下回る今年前半の低成長を受けて、年後半から来年にかけての見通しが大幅に下方修正されている。Fedも例外ではなく、見通しを下方修正したうえで下ブレリスクが高まっていると指摘。7月の経済指標は概して底堅く推移したが、景気悪化懸念はむしろ高まっている。債務上限の引き上げ問題を巡る政治的混乱を端緒にして、様々な材料が金融市場を混乱させている。昨年とは異なり、金融や財政政策の迅速な対応が難しいことが不透明感を増幅している。
◆株価の大幅下落や金利の大幅低下という一連の動きにより、企業の景況感や消費者のマインドが大きく悪化している。2011年の成長率を1.7%と予想するが、マインドの変化が実際の行動にどのように表れるか、注視していく必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2011年08月10日
Fed、2013年半ばまで超低金利の継続を表明
景気は著しく減速し、下ブレリスクが高まる
-
2011年08月08日
米雇用増加幅が2ケタに戻り、過度な悲観は後退
7月の雇用統計:非農業雇用者数は11.7万人増、失業率は9.1%
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2018年04月25日
2017年度・持株会社導入レビュー
-
2018年04月24日
欧州経済アップデート(2018.4)
-
2018年04月23日
グラフで見る2018年3月の中国経済動向
-
2018年04月20日
2018年3月全国消費者物価
実質賃金と実質年金の低下が個人消費の重石へ
-
2018年04月26日
“遊び”をなくしても生産性は上がらない
よく読まれているリサーチレポート
-
2018年02月19日
コーポレートガバナンス・コード改訂
幾つかの開示事項が追加される見通し
-
2017年06月29日
民法(債権法)改正の重要ポイント
時効、法定利率、定型約款、個人保証の見直し
-
2018年01月09日
2018年以降の制度改正予定(企業法務編)
-
2017年11月08日
フェア・ディスクロージャー・ルール細則案の概略
2017年金商法改正関連シリーズ
-
2017年10月13日
20年後の生命保険業界の行方
~既存の生命保険会社は経済・社会構造の変化の波に耐えられるか~