サマリー
◆2011年Q2の実質GDP成長率は前期比年率1.3%増と8四半期連続のプラス成長になったが、下方修正されたQ1(0.4%増)とともに、米国景気が大幅に減速していることを示している。2011年前半が1%成長にとどまった象徴として、個人消費の伸び悩みが挙げられる。特に、Q2は0.1%増とこの2年間では最低の伸び率に。中身をみると、食料品やガソリン等の価格高騰が非耐久財支出やサービス支出を抑制する一方、耐久財支出は自動車関連の大幅減少が足を引っ張った。後者は、日本の震災等に伴うサプライチェーンの混乱が影響していよう。なお、サプライチェーンの影響は、在庫投資増減や輸入などその他の需要項目にもみられる。
◆一方、企業の設備投資は前期から加速し、低成長のなかの牽引役になっている。構築物投資が2四半期ぶりに増加に転じたほか、コンピュータを中心にIT投資の増加も貢献している。昨年末に成立した景気対策に盛り込まれた優遇措置によって、今後も企業は国内投資を実施するインセンティブがあるものの、個人消費など国内需要の弱さを受けて、投資に慎重になる可能性も。先送りならまだしも、経営者が、より高い成長が期待できる海外市場での投資に積極的になれば、中長期的な成長抑制要因になろう。
◆一方、企業の設備投資は前期から加速し、低成長のなかの牽引役になっている。構築物投資が2四半期ぶりに増加に転じたほか、コンピュータを中心にIT投資の増加も貢献している。昨年末に成立した景気対策に盛り込まれた優遇措置によって、今後も企業は国内投資を実施するインセンティブがあるものの、個人消費など国内需要の弱さを受けて、投資に慎重になる可能性も。先送りならまだしも、経営者が、より高い成長が期待できる海外市場での投資に積極的になれば、中長期的な成長抑制要因になろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2012年Q1の米国成長率は2.2%増に鈍化
個人消費や住宅等が牽引するが、暖冬の影響や設備投資の減少等懸念材料も
2012年05月01日
-
米経済見通し またギリシャか、欧州か…
内憂外患を抱えた状況は変わらず、良くも悪くもあまり期待しなければいい
2012年05月18日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
-
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日