サマリー
◆岸田政権3年間の実質GDPは低成長にとどまったものの、賃金が名目額でも実質額でも上昇する状況までこぎ着けた。物価動向に関連する広範なデータから判断すると、再びデフレに戻る可能性はかなり低いとみられる。少子化対策や労働市場改革、経済安全保障の強化などで実績を残したが、多くは緒に就いたばかりだ。一方、取り組みで遅れが目立ったのが財政健全化である。財政は改善傾向にあるものの、コロナ禍直後に急拡大した歳出の調整が十分に進んでおらず、歳入を大幅に上回る状況にある。
◆次期政権の喫緊の課題は、日本経済をデフレから完全に脱却させることだ。自由民主党(自民党)総裁選では物価高対策を含む経済対策の実施を主張する候補者がいるが、岸田政権の関連施策の効果や足元の経済状況を十分に踏まえた上で、追加の対策が必要な家計や企業に絞って実施すべきだ。少子化に歯止めをかけ、国内の供給力を強化し、脱炭素やデジタルの分野で国際競争力を向上させ、金融政策の正常化に歩調を合わせて財政健全化を進めるなど、岸田政権が積み残した重要課題で成果を上げることが期待される。
◆自民党総裁選の争点の一つが労働市場改革だ。足元では「ジョブ型人事」の導入などに進捗が見られるものの、職務や給与体系の「標準化」などは十分に進んでいない可能性があり、円滑な労働移動の促進にどの程度つながるのかは不透明だ。職業情報のインフラ整備や、職業訓練の質と量の改善などへの政府の積極的な取り組みが求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2026年8月号(No.477)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2026年07月29日
-
財政の持続可能性を高める国債市場の整備
2026年07月29日
-
日本経済見通し:2026年7月
高市政権初の「骨太方針」を読む
2026年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

