日本経済見通し:中国における反日デモの影響は?

日本経済は景気後退の瀬戸際に。5つの景気下振れリスクに要注意

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2012年10月19日

  • 調査本部 副理事長 兼 専務取締役 調査本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

日本経済は景気後退の瀬戸際に:足下の日本経済は減速感が強まっている。9月以降発表された経済指標は、日本経済が景気後退の瀬戸際にあることを感じさせる内容であった。当社は、今後の日本経済は、メインシナリオとして、2012年一杯「踊り場」の状態が続いた後、[1]震災発生に伴う「復興需要」、[2]米国・中国経済の底割れ回避、[3]日銀の追加金融緩和、という「三本の矢」に支えられて、2013年以降、緩やかな回復軌道に戻ると想定している。ただし、日本経済の下振れリスクとして、[1]日中関係の悪化、[2]「欧州ソブリン危機」の深刻化、[3]地政学的リスクなどを背景とする原油価格の高騰、[4]円高の進行、[5]将来的な経常収支赤字化、の5点に留意が必要である。

中国における反日デモの影響をどう捉えるか?:今回のレポートでは、中国における反日デモの影響を定量的に検証した。日中関係が急速に悪化した場合、日本経済が相応の打撃を受ける可能性には注意が必要となろう。

政府・日銀に求められる政策対応:政策当局は、デフレが継続するなか、日本経済再生に向けて、[1]トップリーダーの確固たる「ビジョン(国家観・哲学)」に基づいた体系性のある政策を実行、[2]「内需」や「需要サイド」のみに固執するのではなく、「外需」や「供給サイド」も重視したバランスのとれた経済政策を実施、[3]消費税引き上げ、社会保障費を中心とする歳出削減などを通じて「財政再建」を実現、[4]政府・日銀がより一層緊密に連携、という4点を柱に据えた経済政策を断行すべきである。特に、上記[4]に関連して、当社は、グレンジャー因果性を用いた分析などによれば、日銀の更なる金融緩和を通じた円安・株高の進行などがデフレ脱却に有効であると考えている。

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