サマリー
◆個人消費の停滞は景気回復の大きな足かせとなっている。背景には物価高だけでなく、コロナ禍以降の家計の行動変容などもあるとみられ、これらの消費への影響にも目を向ける必要がある。個人消費を世帯主の年齢階級別に分けて見ると、20代以下の消費額は2019年の水準を回復した一方、それ以外の年齢層では停滞しており、とりわけ30~50代の回復が遅れている。
◆世帯主の年齢層ごとに消費関数を推計し、個人消費の2019年からの変化率に対する寄与度を推計したところ、20代以下の「若年層」では実質可処分所得の増加が個人消費を押し上げた。他方、30~50代の「ミドル層」では所得が減少し、個人消費を大きく押し下げた。60代、70代以上の「シニア層」では、所得が減少したが所得弾性値の低さもあって個人消費の押し下げ幅はミドル層よりも小さく、金融資産の増加が個人消費を押し上げた。消費者マインドは全ての年齢層で悪化し、個人消費を押し下げた。
◆推計結果を踏まえると、実質可処分所得の減少や消費者マインドの悪化がコロナ禍以降の個人消費の停滞を招いた主な要因であることが示唆される。この点、2024年の春闘賃上げ率は33年ぶりの高水準となり、賃上げの機運がより多くの企業に広がったことが確認された。また、25年度には賃金・物価の循環的な上昇が定着し、物価は前年比+2%程度の水準で安定的に推移する見込みだ。こうした動きがとりわけミドル層の実質可処分所得の増加や家計のマインドの改善に繋がれば、個人消費は持ち直すだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
先進国の産業政策の新潮流
~問われる政府の役割と高市政権の成長戦略への示唆~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
2026年6月全国消費者物価
資源高等により、4カ月連続でエネルギー価格のマイナス幅が縮小
2026年07月24日
-
2026年6月貿易統計
輸入金額は過去最大/4-6月期外需寄与度は+0.3%pt程度を見込む
2026年07月22日
最新のレポート・コラム
-
ISSの議決権行使助言方針は今後どうなる?
国際基準の改定提案に現れた新テーマと日本への影響
2026年07月27日
-
企業価値担保権制度による融資機会の創出
無形資産を有する企業への資金供給と金融機関の課題
2026年07月27日
-
SDGsの先を見据える
~企業・金融資本市場への含意~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
地域金融力強化プランを踏まえた地銀業界再編の方向性
~再編による期待される相乗効果とは~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
第3号被保険者制度は「良い制度」とはいえないけれど
2026年07月27日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日


