デジタル化は地方創生の救世主?

「デジタル田園都市国家構想」の行方を探る

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サマリー

◆地方創生に関する基本的な方向性として、従来の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に代わり、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」が策定された。この総合戦略は、2023年度を初年度とした5か年計画であり、デジタルの力を活用しそれを継承・発展させていくことを目的としている。この総合戦略に基づいて、新たに地方創生を議論する場となった「デジタル田園都市国家構想実現会議」は、2023年10月に創設された「デジタル行財政改革会議」の傘下に入り、規制改革推進会議・行政改革推進会議・デジタル庁と一体的な枠組みの中で議論されるようになった。

◆デジタルを起点とした地方創生では、当面の重要検討課題として、まずデジタル実装を進めるための基盤整備に注力すると共に、中期的な視点から「デジタル人材の育成・確保」にも取り組んでいくことが示されている。それらの基礎条件を整備した上で、具体的な地方の社会課題の解決を目指していく方向だ。

◆地域のビジネス活性化の観点から早急に取り組むべき課題は、地域・業種等で散らばるデータを相互に活用できるデータ連携基盤の構築だ。さらに、デジタル技術の利用者や理解者を広げる取り組みも重要だ。特に、高齢者の多い地域においては、デジタル技術への拒否反応を減らすことが大切であろう。小さなところからメリットを感じる成功事例の積み上げなどにより、デジタル化による地方創生の効果を高められるだろう。

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