人手不足の構造要因

需要に追いつかない専門職と補充が利かない現業職

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2023年11月21日

サマリー

◆2010年代半ばから人手不足が深刻化した大きな要因に団塊世代の大量退職がある。その上、少子化の影響によって大量退職で生じた労働力の欠員を埋められない。

◆職業別に見ると、専門職や現業職の人手不足が深刻な一方、事務職は求職超過である。すなわち人手不足には高学歴化の進展によるミスマッチ要因もある。まずは産業構造の高度化に伴い技術系を中心に専門職の需要が拡大している。供給も増えており20代後半に限れば就業者の4分の1が専門職だが、それでも需要に追いつかない。他方、団塊世代が多かった現業職は大量退職の影響を受けたが、意識の変化や年収水準等の問題もあって求職者が少ない。

◆構造要因を踏まえた改善策としては、専門職については将来の産業構造に合わせた高等教育の再編などが考えられる。現業職については省人化投資によって求人自体を減らす策や、生産性を高め年収水準を改善することで、事務職志向の大卒人材を現業職に誘導する策があろう。

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