サマリー
◆日本経済が中長期的に一定の活力を維持していくためには、供給力の強化が重要となる。ただし、現状からさらに労働参加率を高めたり失業率を低下させたりするのは難しいため、今後は労働生産性の向上や就労調整の原因となっている制度や慣習の解消が重要となろう。労働市場改革や就労の促進に向け政策効果が発現すれば、中長期的には、潜在GDPが最大12%程度押し上げられる可能性がある。
◆産業間の労働移動を通じた生産性の大幅上昇は見込みにくいが、同じ産業内における生産性の高い企業に労働者が移動すれば、経済全体の生産性も押し上げられるだろう。また、職務給の普及などをきっかけに企業や個人の人的資本投資が活性化すれば、生産性の更なる向上が見込める。
◆公的年金における第3号被保険者制度(3号)は就業調整の要因となっている。一定世代から3号の対象を家族ケア従事者に限定する見直しを行えば、最大60万人の就業時間延長が見込まれる。さらに、週20時間未満の雇用者にも厚生年金の適用を拡大する改革により「収入の壁」を解消できれば、最大226万人の就業時間延長が期待できる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日