2025年07月30日
サマリー
◆日本の就業者に占める雇用型テレワーカーの割合は、2024年度で24.6%(男性は同31.2%、女性は同16.9%)であり、2023年度以降は安定的に推移している。テレワーカーの割合は、男性の方が女性よりも一貫して高く、男性は60歳以上、女性は40歳以上になると次第に減っていく。テレワーカーの割合は通勤時間の長さと大きく関わる。雇用型テレワーカーは2024年度に平均週2日以上テレワークを実施しており、日本でもテレワークと出社勤務を組み合わせるハイブリッド型が定着する傾向にある。雇用型テレワーカーのうち6割以上は継続意向を示しており、今後の実施希望頻度は週2日が最も多く、週1日や週5日以上を希望する割合もかなり多い。
◆国内外の最新データを使った学術研究では、テレワーク利用率は北米・英国・豪州といった英語圏が最も高く、アジアが最も低いこと、子どもを持つ従業者はテレワークと出社勤務を使い分ける「ハイブリッド型」を選ぶ傾向があること、などが明らかにされている。また、テレワークと生産性の関係はコンセンサスが得られていない。理由は、分析対象とするデータの時期の違い、家庭環境、テレワークに適したタスクの構成比率が業種や職種で異なること、そして国の文化的背景(仕事の進め方)などが関係するからだ。
◆テレワークは包摂性(多様な立場の人々を受け入れること)や快適性(通勤時間の節約やワークライフバランスの両立しやすさなど)の観点からも注目されており、企業がこれまでアプローチできなかった潜在的な労働者にアクセスする機会を増やせるため、賃金上昇を抑制しつつ労働力を確保できるメリットがあるとの指摘もある。
◆さらに、入社してから暫くは対面で教育すること(onboarding)はその後のリテンションや中長期的な生産性向上に効果があると指摘する研究もある。直接会う時間をある程度確保し、企業と従業者の間で「信頼」関係を構築・維持することは、テレワークを効果的に活用する上で重要なポイントといえそうだ。人材不足解消や生産性向上には、テレワークに適した業務かどうかを見極め、「ハイブリッド型」など「信頼」関係を構築・維持しながらのテレワーク導入が有効と考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年8月全国消費者物価
電気・ガス料金支援でエネルギー価格下落、コアCPI上昇率は低下
2026年09月18日
-
日銀、9月会合で1.25%に利上げ 今後も利上げ路線を堅持
家計の利払い負担増は賃金上昇が吸収も利上げ長期化リスクに留意
2026年09月18日
-
2026年8月貿易統計
中東情勢による資源高が続き、4カ月連続の貿易赤字
2026年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

