サマリー
◆日本の就業者に占める雇用型テレワーカーの割合は、2024年度で24.6%(男性は同31.2%、女性は同16.9%)であり、2023年度以降は安定的に推移している。テレワーカーの割合は、男性の方が女性よりも一貫して高く、男性は60歳以上、女性は40歳以上になると次第に減っていく。テレワーカーの割合は通勤時間の長さと大きく関わる。雇用型テレワーカーは2024年度に平均週2日以上テレワークを実施しており、日本でもテレワークと出社勤務を組み合わせるハイブリッド型が定着する傾向にある。雇用型テレワーカーのうち6割以上は継続意向を示しており、今後の実施希望頻度は週2日が最も多く、週1日や週5日以上を希望する割合もかなり多い。
◆国内外の最新データを使った学術研究では、テレワーク利用率は北米・英国・豪州といった英語圏が最も高く、アジアが最も低いこと、子どもを持つ従業者はテレワークと出社勤務を使い分ける「ハイブリッド型」を選ぶ傾向があること、などが明らかにされている。また、テレワークと生産性の関係はコンセンサスが得られていない。理由は、分析対象とするデータの時期の違い、家庭環境、テレワークに適したタスクの構成比率が業種や職種で異なること、そして国の文化的背景(仕事の進め方)などが関係するからだ。
◆テレワークは包摂性(多様な立場の人々を受け入れること)や快適性(通勤時間の節約やワークライフバランスの両立しやすさなど)の観点からも注目されており、企業がこれまでアプローチできなかった潜在的な労働者にアクセスする機会を増やせるため、賃金上昇を抑制しつつ労働力を確保できるメリットがあるとの指摘もある。
◆さらに、入社してから暫くは対面で教育すること(onboarding)はその後のリテンションや中長期的な生産性向上に効果があると指摘する研究もある。直接会う時間をある程度確保し、企業と従業者の間で「信頼」関係を構築・維持することは、テレワークを効果的に活用する上で重要なポイントといえそうだ。人材不足解消や生産性向上には、テレワークに適した業務かどうかを見極め、「ハイブリッド型」など「信頼」関係を構築・維持しながらのテレワーク導入が有効と考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
インバウンドに忍び寄る外部ショック
中国人旅行客減少下でも堅調だが、中東情勢緊迫化の影響に要注意
2026年04月09日
-
日本は国際的な人材獲得競争で勝てるのか
外国人労働者の増加継続を見込むも経済下振れと円安がリスク要因
2026年04月07日
-
2026年2月消費統計
財は弱いもののサービスが強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2026年04月07日
最新のレポート・コラム
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業のAI導入・利用に必要な人権の視点
世界で進展するAI規制の展開と日本の現状を踏まえて
2026年04月10日
-
遺言のデジタル化に向けた検討
「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」における、遺言の手続きの見直しについて
2026年04月10日
-
米国:停戦合意後も残る景気悪化リスク
原油高×金融リスクの増幅=フィナンシャル・アクセラレーター
2026年04月09日
-
新NISAがもたらす投資の定着と、次世代へ繋がる資産形成
2026年04月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

