サマリー
2月24日にロシアがウクライナへ侵攻して以来、世界経済見通しは一気に不透明感を増した。西側諸国による対ロシアの金融・経済制裁は、ロシア経済に大打撃となると予想されるものの、ロシアの軍事侵攻を止めるにはまだ至らず、戦闘状態が長期化している。世界経済への悪影響は、原油、天然ガス、小麦、パラジウム、ニッケルなどの価格急上昇を通じてまず波及しよう。また、インフレ圧力が一段と高まる中、米欧の中央銀行は金融引き締めを従来に比べ前倒しで実施する姿勢を見せ、それが株式市場のボラティリティ拡大につながっている。大和総研では、エネルギー価格、対ロシア貿易、株価について3つのシナリオを作成し、日米欧中の2022、23年の実質GDP成長率見通しを比較した。ロシアとの経済的な結びつきが強い欧州の経済見通しの下振れ幅が最も大きいが、上記日米欧中では悲観シナリオ(ロシアと西側諸国の武力衝突は想定せず)でもプラス成長を維持する見込みである。ただし、新興国では資源や食品の価格上昇、米国の利上げによる悪影響がより強く出てくることが予想され、今後、注視する必要がある。
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