サマリー
◆2022年の欧州経済は、新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大とインフレ圧力の高まりが重しになるものの、コロナ感染がピークアウトし、4-6月期以降、景気回復が加速すると見込んでいた。だが、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻によって、見通しの前提が大きく崩れてしまった。
◆グローバルに見て、ロシアのウクライナ侵攻のマイナスの影響を最も強く受ける地域は欧州である。それは、紛争地域との近さ、あるいは当事者であるロシアとの関係の強さから考えて当然といえよう。多種多様な意見を抱えるEUだが、従来に比べると、EUは迅速に決断しまとまって行動している。それだけ、ウクライナ問題は他人事ではないという危機感があるのだろう。
◆コロナ禍からの回復過程で価格が上昇しているところに、ロシアのウクライナ侵攻が拍車をかけている。ECBは、予想を大幅に上回る高インフレと景気減速の両方に配慮して金融政策の出口戦略を進めなければならず、難しい判断を迫られよう。
◆コロナ感染対策としての行動制限が解除されるには、新規感染者が減少するなど感染状況が抑制されることが前提となるが、これまでの知見から、ある程度、感染状況の見通しが立てられるようになっている。一方、ロシアに対する経済制裁に関しては、その解除の見通しは相当な不確実性を伴う。何をもって欧米が制裁を段階的にでも緩和していくかは不透明であり、早期に制裁解除の環境が整う確率は低いと考えられる。なぜなら、全面解除が早期に実現するには、ロシア軍が撤退しウクライナに詫びを入れることが欠かせないが、現在の戦況や、ロシアのプーチン大統領のこれまでの一連の発言や行動を踏まえると、容易には想像しがたいからだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し トランプリスク再来
追加関税で対米貿易摩擦懸念が再燃/欧州経済中期見通し
2026年01月21日
-
2026年の欧州経済見通し
不確実性低下、財政拡張で景気回復ペースは再加速へ
2025年12月23日
-
欧州経済見通し 成長再加速の兆し
景気の下振れリスク緩和でECBの追加利下げ観測は後退
2025年11月25日
最新のレポート・コラム
-
直近のMBOによる株式非公開化トレンド
事例比較による公正性担保措置の実務ポイント
2026年01月27日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第3回 不動産セキュリティトークンとは?(後半)
不動産セキュリティトークンの発行・流通動向、税制
2026年01月26日
-
大和のクリプトナビ No.6 暗号資産制度WG報告と今後の注目点
業界再編や自主規制機関の体制整備、オンラインでの適合性確保に向けた議論が注目点か
2026年01月26日
-
米国アセット・ウェルスマネジメント業界のダイナミズム
~変革を生み出すイノベーションとは~『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
-
消費税率の引き下げは本当に低所得世帯支援に最適な政策なのか
2026年01月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

