サマリー
企業のESG投資におけるS(社会)の重要性がにわかに高まってきた。この背景の一つとして、世界で経済成長の決定要因が研究開発・知的財産・データ・ブランドなどの無形資産の蓄積へと移行しており、それを活かすための人材の重要性が増していることがある。
足元の日本の労働生産性上昇率の低下は、無形資産投資がデザインや組織改革などへの広がりを見せていないことが関係している可能性がある。先進国内で必要なのは、機械やAIなどに容易に代替されない、高度かつ幅広い技能を発揮できる人材であり、そうした人材を活かす組織への改革だ。日本のような超少子高齢社会では貴重な人材が存分に活躍できる環境整備が求められる。
最近は人材(人的資本)が生産性や企業業績に与える影響について企業のミクロデータを使った実証分析が増えている。研究結果からは、能力・健康・女性など多様性への配慮が企業の成長を左右することが示唆される。
無形資産が重要となるこれからの時代には、人材の活用とそれを支える組織体制の巧拙が生産性や企業価値の方向性を決める可能性が高い。企業の成長を担う人材に十分配慮した取り組みが望まれる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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