サマリー
7-9月期の成長率は中国で予想を下回り、米国、英国、ドイツなどでは予想の下方修正が相次いでいる。新型コロナウイルス感染の再拡大が消費を下押しした側面もあるが、それ以上に経済再開を受けた資源・コモディティ価格の上昇、半導体不足やコンテナ不足などの供給制約が景気減速要因となっている。象徴的なのが多くの国で生じている自動車の生産と販売の急減である。冬の到来を前に天然ガスや原油、石炭の備蓄需要は容易には解消されないと見込まれ、インフレのピークアウトの予想が後ずれしている。この状況下で、米欧では景気後退とインフレ加速が同時進行するスタグフレーションの懸念がささやかれている。インフレ加速が来春以降も継続するかの鍵を握るのは、供給制約の解消が進むか、資源需要が落ち着くかに加えて、インフレ加速が賃金上昇率に反映されるかとなろう。人手不足問題がすでに浮上している米国、英国では賃金上昇率の加速が持続的なインフレ加速をもたらす可能性がより高い一方、日本と中国では資源価格上昇は消費者物価になかなか転嫁されず、企業のマージン悪化の方が深刻になろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2021年10月
資源高による経済への影響/経済正常化はデフレ脱却の好機となるか
2021年10月20日
-
米国経済見通し 今は「スローフレーション」
しかし、長引けばスタグフレーションに
2021年10月20日
-
欧州経済見通し スタグフレーションの影
迷彩服を着たサンタがガソリンだけでなく、プレゼントも運ぶ可能性
2021年10月20日
-
中国経済見通し:一難去らずにまた一難
恒大問題、電力不足、コロナ警戒モードで中国経済見通しを下方修正
2021年10月21日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
2025年9月貿易統計
トランプ関税の悪影響続くも、円安効果で輸出金額は5カ月ぶり増加
2025年10月22日
-
2025年8月機械受注
非製造業(船電除く)を中心に弱含み、政府は基調判断を下方修正
2025年10月16日
最新のレポート・コラム
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日
-
健康経営の新たな戦略基盤
従業員多様化時代のウェルビーイングプラットフォームの可能性
2025年10月24日
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
バブル期と比較しても、やはり若者が貧しくなってはいない
~未婚若年層の実質可処分所得・1980年からの超長期比較版
2025年10月27日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

