資源高と供給制約が影を落とす景気回復

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2021年10月21日

サマリー

7-9月期の成長率は中国で予想を下回り、米国、英国、ドイツなどでは予想の下方修正が相次いでいる。新型コロナウイルス感染の再拡大が消費を下押しした側面もあるが、それ以上に経済再開を受けた資源・コモディティ価格の上昇、半導体不足やコンテナ不足などの供給制約が景気減速要因となっている。象徴的なのが多くの国で生じている自動車の生産と販売の急減である。冬の到来を前に天然ガスや原油、石炭の備蓄需要は容易には解消されないと見込まれ、インフレのピークアウトの予想が後ずれしている。この状況下で、米欧では景気後退とインフレ加速が同時進行するスタグフレーションの懸念がささやかれている。インフレ加速が来春以降も継続するかの鍵を握るのは、供給制約の解消が進むか、資源需要が落ち着くかに加えて、インフレ加速が賃金上昇率に反映されるかとなろう。人手不足問題がすでに浮上している米国、英国では賃金上昇率の加速が持続的なインフレ加速をもたらす可能性がより高い一方、日本と中国では資源価格上昇は消費者物価になかなか転嫁されず、企業のマージン悪化の方が深刻になろう。

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