2012~2020年の家計実質可処分所得の推計

第2次安倍政権・菅政権下で30代の実質可処分所得が大きく伸びる

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2021年10月11日

サマリー

◆2012年~2020年の賃金統計等をもとに、5つのモデル世帯を設定し、第2次以降の安倍政権・菅政権下の家計の実質可処分所得の推移を推計した。

◆2019年から2020年にかけては、特別定額給付金の支給により5ケース中4ケースで実質可処分所得が増加していた。ただし「20代単身男性」のケースでは実質可処分所得が減少していた。特別給付金は世帯人数当たりの定額給付であったため、失業・休業となった世帯のほか、就業を継続していても単身世帯(特に残業代減少幅の大きかった男性)において賃金下落分等を特別給付金で補いきれなかった世帯も少なくないとみられる。

◆特別給付金を除くと、2020年の実質可処分所得は5ケース中4ケースで前年比で減少したが、5ケース中3ケースは2012年と同等以上の水準に留まった。「30代4人世帯」のケースでは、特別給付金を除いてもなお2019年より実質可処分所得が上昇し、かつ、2012年時点よりも4.6%高い水準にある。30代においては、幼児教育無償化による実質可処分所得の増加分が大きく、かつ、賃金も大きく上昇した。すなわち、現在の30代にとって第2次以降の安倍政権・菅政権の政策による恩恵が大きかったものといえる。

◆20代男性の実質可処分所得の落ち込みは一時的なものである可能性もあるが、40代の実質可処分所得の伸び悩みはコロナ禍前からのトレンドとなっている。

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