サマリー
◆2012年~2020年の賃金統計等をもとに、5つのモデル世帯を設定し、第2次以降の安倍政権・菅政権下の家計の実質可処分所得の推移を推計した。
◆2019年から2020年にかけては、特別定額給付金の支給により5ケース中4ケースで実質可処分所得が増加していた。ただし「20代単身男性」のケースでは実質可処分所得が減少していた。特別給付金は世帯人数当たりの定額給付であったため、失業・休業となった世帯のほか、就業を継続していても単身世帯(特に残業代減少幅の大きかった男性)において賃金下落分等を特別給付金で補いきれなかった世帯も少なくないとみられる。
◆特別給付金を除くと、2020年の実質可処分所得は5ケース中4ケースで前年比で減少したが、5ケース中3ケースは2012年と同等以上の水準に留まった。「30代4人世帯」のケースでは、特別給付金を除いてもなお2019年より実質可処分所得が上昇し、かつ、2012年時点よりも4.6%高い水準にある。30代においては、幼児教育無償化による実質可処分所得の増加分が大きく、かつ、賃金も大きく上昇した。すなわち、現在の30代にとって第2次以降の安倍政権・菅政権の政策による恩恵が大きかったものといえる。
◆20代男性の実質可処分所得の落ち込みは一時的なものである可能性もあるが、40代の実質可処分所得の伸び悩みはコロナ禍前からのトレンドとなっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
2025年11月貿易統計
主力の米国向け自動車の輸出が急回復し、貿易収支は黒字に転換
2025年12月17日
-
2025年10月機械受注
民需(船電除く)は2カ月連続で増加、基調判断は上方修正
2025年12月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

