サマリー
◆2019年分までの賃金統計等をもとに、5つのモデル世帯を設定し、第2次安倍政権下の家計の実質可処分所得の推移を推計した(以前のレポート に加え、2019年分を新たに推計した)。2019年は、10月から消費税率が10%に引き上げられた一方、幼児教育の無償化が施行され、これらが家計に影響を及ぼしている。
◆第2次安倍政権下では2度の消費税率引き上げを実施したが、2019年の実質可処分所得は、5つのモデル世帯のうち3つで2012年を上回り、残る2つでも2012年比99%超の水準まで回復していた。
◆「30~34歳4人世帯」は男女とも名目賃金が上昇したことに加え、幼児教育の無償化の恩恵も受けたことなどから、実質可処分所得の増加が相対的に大きかった(7年間で4.7%増)。他方、「40~44歳4人世帯」は女性の就業率向上が所得を下支えしたものの男性の賃金上昇が鈍く、実質可処分所得は減少した(7年間で0.7%減)。
◆2020年に入ってからは、コロナ禍において小中学生の子を持つ女性の離職が相次いだ。「40~44歳4人世帯」は小中学生の子がいる年代に相当し、2019年までの7年間で実質可処分所得が減少していた世帯に、2020年にさらに下押し要因が加わることが懸念される。今後は、こうした世帯の所得を下支えできる政策が求められるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日
-
中国の渡航自粛要請は日本の実質GDPを0.1~0.4%下押し
今後は対中輸出などへの波及に要注意
2025年11月21日

