サマリー
世界経済は昨年春のコロナショックからの回復局面にある。米欧では新型コロナウイルスのワクチン接種の進展を背景に感染防止策が段階的に緩和され、サービス消費が回復しつつある。ただし、人の移動の増加に、感染力が強いデルタ株の流行が重なって夏場に感染が再燃したように、ワクチン接種が進んでも感染抑制と経済再開の両立は一筋縄ではいかない。世界的なインフレ懸念も、経済再開を受けた資源・コモディティ価格の上昇、半導体不足などの供給制約だけでなく、感染拡大を原因とする工場の操業停止や人手不足などの要因が絡み合い、欧米の中央銀行が主張するように一時的なのか、そうではないのか見極めが難しい。明確なのは感染抑制と経済再開をなんとか両立させることが各国の政府の長期的な課題となったことであり、その中でコロナ禍前から存在する様々な社会問題の解決も同時に図る必要性が高まっていることである。日本とドイツでは新首相選出につながる選挙がこの9月末に実施されるが、新首相率いる新政権は目前のコロナ対策を、長期的な問題意識も併せ持って取り組む必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2021年9月
今秋から経済正常化が進展か/菅政権の振り返りと次期政権の課題
2021年09月21日
-
米国経済見通し 2021年秋のリスク総点検
スタグフレーション懸念、政治の駆け引き、そして、2022年の利上げ
2021年09月21日
-
欧州経済見通し インフレの足音
一時的な上昇・景気足踏みか、それともスタグフレーションの前兆か
2021年09月21日
-
中国:恒大集団の経営危機をどうみるか
景気減速要因だが、金融危機につながらず。21年の見通しを下方修正
2021年09月21日
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日