サマリー
◆大和総研は、2021年7-9月期の実質GDP成長率を前期比年率5.4%と下方修正した。新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大によって人々の外出が抑制され、サービス消費が伸び悩み、個人消費が失速することが予想を引き下げた主な原因である。
◆先行きに関しては、下振れリスクが多い。消費者のスタグフレーション懸念が続く中で、個人消費に悪影響を及ぼす可能性がある。インフレ加速が落ち着くとは言い切れないことに加え、雇用環境の回復が再加速するまで幾分時間がかかることから、スタグフレーション懸念は当面残存し得る。
◆また、GDPの押し上げ効果が期待されるバイデン政権の成長戦略である“Build Back Better”に関して、民主党内の駆け引きが続いている。こうした駆け引きが緊急性の高い債務上限問題やつなぎ予算策定にも悪影響を及ぼすなど、リスク要因化している。
◆そして、金融政策に関しては、雇用環境の回復ペースが鈍化したことで、9月のFOMCでのテーパリング公表はほぼ消滅するも、年内公表というタイムラインは崩れていない。また、9月のFOMCでは、ドットチャートで2022年の利上げを予想するFOMC参加者が増える可能性がある。市場参加者はドットチャートでの2022年利上げ見通しを織り込み切れておらず、サプライズが発生するリスクがある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日