サマリー
◆中国不動産開発大手の中国恒大集団(以下、恒大)が経営危機に直面している。不動産市場は明らかに変調をきたしているが、今回の騒動によって金融システムが大きく動揺したり、毀損する可能性は低い。ただし、景気下振れ要因としてしっかりと留意する必要がある。
◆中国経済には、資源・コモディティ価格の急上昇、不動産に対する引き締め強化、半導体の供給不足、新型コロナウイルスデルタ株への警戒による接触型消費の不振など、いくつかの下振れ要因がある。特に、不動産市場の調整懸念は大きく高まっている。これを踏まえて、大和総研は2021年の中国の実質GDP成長率予想を従来の前年比8.8%(以下、変化率は前年比、前年同期比)から8.4%に引き下げた。2021年7月~9月は5.5%(従来は6.5%)、10月~12月が4.5%(同5.0%)と想定した。
◆一方で、ワクチン接種の普及による集団免疫獲得の可能性や、預金準備率のさらなる引き下げなど政策対応余地の大きさは中国経済の強みである。2022年秋には5年に一度の最重要会議である党大会の開催を控え、景気を上向かせようとのインセンティブが働こう。2022年の成長率見通しは6.0%で据え置く。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国:米国の対中追加関税率は累計104%→145%、中国経済への悪影響はほぼ変わらず
中国は交渉(ディール)の用意があることを示唆
2025年04月11日
-
中国:米国の104%追加関税、悪影響には天井
累計104%の追加関税で中国の実質GDPを2.84%押し下げ
2025年04月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日