サマリー
◆2021年7月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は、前年比▲0.2%と前年割れしたものの、コンセンサス(同▲0.4%)を上回った。CPIは今回公表から2020年基準へと改定され、前年比変化率が大幅に下方修正された。エネルギー価格の影響を除いた新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は同▲0.6%と、6月(同▲0.9%)からマイナス幅が縮小した。下押し圧力となる特殊要因が存在する中でも、物価の基調は底堅く推移しているとみられる。
◆21年7月のコアCPIの前年比変化率の内訳を見ると、エネルギー価格の上昇が全体を押し上げた。また前月の主要な押し下げ要因であったサービスに関しては、「通信料(携帯電話)」が引き続き低下要因となっているものの、指数の算出方法の変更を受けて「宿泊料」が大きく上昇し、サービス全体で見た下押し圧力が弱まった。
◆先行きのコアCPIの前年比変化率は上昇要因と低下要因が入り交じる中で徐々にマイナス幅が縮小していくとみている。資源価格の上昇や輸入物価の上昇などに加え、前年のGo Toトラベル事業の裏の影響が引き続き押し上げ要因となるだろう。他方、緊急事態宣言の対象地域拡大・期間延長に伴い、サービスの価格は上がりづらい状況が続くとみられる。また携帯電話通信料の引き下げの影響が今後も前年比上昇率を抑制するだろう。
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