【訂正版】第6次エネルギー基本計画案の要点と含意

数値目標の実現可能性は不透明、8月の改定案での対応に注目

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2021年08月02日

  • 吉田 智聡

サマリー

◆第6次エネルギー基本計画の素案では気候変動への対応とエネルギー需給構造に関する課題の克服という基本方針が掲げられた。2030年度の電源構成案は再生可能エネルギーが36~38%、原子力発電が20~22%、火力発電が41%、水素・アンモニアが1%となった。再生可能エネルギーの詳細を見ると、太陽光と風力を軸に拡大を図る方針である。

◆発電電力量の前提となる省エネや、電源構成の実現可能性には疑問が呈されている。今後はパブリックコメントを経て8月に改定案が示される予定である。目標達成に向けた具体的な道筋を示すのか、数値目標や関連政策の位置付けを変更するかなどが焦点となる。

◆エネルギー基本計画を巡っては電源構成など「内向き」の政策が中心となりがちであるが、化石燃料の大半を輸入に依存する日本では、調達などの「外向き」の政策も同程度に重要なテーマである。中東湾岸諸国は今後とも原油や石油製品の輸入先であるとともに、天然ガスやアンモニアなどの脱炭素化促進のために重要な資源の調達先であり続けるだろう。また、再生可能エネルギーの大量導入や電気自動車の普及を目指すにあたっては、基盤となるレアメタル等の自主開発を進めて供給元の多角化を図るなど資源の安定供給体制の強化が必要不可欠である。

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