サマリー
◆2021年6月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は、前年比+0.2%と2カ月連続で前年比プラスを維持し、コンセンサス通りの結果となった。エネルギー価格の影響を除いた新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は同▲0.2%と3カ月連続で前年割れした。ただし特殊要因の影響を除いて見れば、物価の基調は底堅く推移しているとみられる。
◆21年6月のコアCPIの前年比変化率の内訳を見ると、エネルギー価格の上昇が全体を押し上げた。他方、サービスは前月に続いて下落要因となった。エネルギーでは資源価格の動きが比較的遅れて反映される「都市ガス代」や「電気代」のマイナス幅が縮小した。サービスでは「通信料(携帯電話)」が前年比▲27.9%と前月に続いて大幅な前年比マイナスとなった。
◆コアCPIを取り巻く環境に関しては、当面、上昇要因と下落要因が拮抗するとみている。資源価格の上昇や輸入物価の上昇などに加え、8月以降は前年のGo Toトラベル事業の裏の影響が押し上げ要因となるだろう。他方、携帯電話通信料の引き下げによる影響が今後も前年比上昇率を抑制しよう。なお、次回公表される7月分(2021年8月20日公表予定)からCPIは2020年基準へ改定される。これに伴い、全国コアCPIの前年比変化率は最大で▲0.3%pt程度の下振れが予想される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日