サマリー
◆【企業部門】2021年5月の輸出数量や生産活動は悪化した。輸出数量指数は前月比▲2.6%であった。足踏み状態にあった米国や欧州向けの輸出は増加したものの、中国を中心にアジア向けが減少に転じた。鉱工業生産指数は同▲6.5%であった。半導体不足の影響で自動車工業の生産指数が前月から2割近く低下した。第3次産業活動指数は▲2.7%と2カ月連続で低下した。5月中旬までの新型感染症の新規感染者数増加による受診控えや、3回目の緊急事態宣言の発出および対象区域拡大が影響したとみられる。
◆【家計部門】2021年5月の消費と雇用は悪化した。二人以上世帯の消費額は前月比▲2.1%と減少した。雇用関連指標では、完全失業率が3.0%と前月から0.2%pt上昇した。就業者数が13万人減少した一方、失業者は10万人増加した。有効求人倍率は1.09倍と前月から横ばいであった。3回目の緊急事態宣言の発出および対象区域拡大などを受けて雇用環境は悪化したとみられる。所得関連指標では現金給与総額は前年比+1.9%と増加したものの、感染拡大で急減した前年同月の裏の影響が表れた格好である。
◆【四半期指標】2021年6月短観によると、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+14%pt(前回差+9%pt)、大企業非製造業は+1%pt(同+2%pt)といずれも2021年3月の前回調査から上昇した。製造業では世界的な貿易の拡大などを受け改善が続く一方、非製造業では新型感染症拡大前の水準を大きく下回っており、依然として回復途上にある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
給付付き税額控除実現に向けたロードマップ
「社会保険料還付付き税額控除」なら早期実現も可能
2025年11月26日
-
米国経済に潜む短期・中長期の下振れリスクと日本経済への影響
株安・関税政策・移民政策強化で日本のGDPは29年までに0.33%減
2025年11月25日
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日

