サマリー
◆米国では、新型コロナウイルスワクチン接種による経済の正常化と、大型景気対策によるV字回復への期待感が高まっている。米国の内需の急回復は、輸入の増加を通じて、貿易相手国経済にもプラスの効果をもたらす可能性が高い。
◆地域別では、米国との結びつきが強いカナダ、メキシコ経済への好影響が特に大きいとみられる。加えて、米国最大の輸入相手国である中国でも輸出の大幅な増加が見込まれる。日本の輸出への影響はこれらの国と比べると小さくなるとみられるものの、輸出感応度は比較的高いため日本の米国向け輸出も高い伸びが期待される。
◆日本の輸出関数を推計すると、米国の国内需要1%の増加に対して、米国向け輸出は3.8%増加するという関係が確認される。当社の米国経済見通しを基にすれば、2021年の米国向け実質輸出は2020年から約4.8兆円増加し、実質GDPを0.9%程度押し上げると推計される。業種別では、米国向け輸出に占めるウエイトが最も高い輸送用機器が特に米国内需拡大の恩恵を受けやすい。
◆ただし、足元では部材となる半導体の不足によって、世界的に自動車メーカーは減産を余儀なくされる状況が広がっている。自動車の大幅な増産は当面難しいとみられ、米国向け輸出のけん引役として期待される自動車輸出の回復は半導体不足が解消するまで後ずれする可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
トランプ関税の影響緩和に作用した企業対応
自動車は関税負担吸収で他企業への波及回避/機械は価格転嫁
2025年12月19日
-
2025年11月全国消費者物価
エネルギー価格の伸び率拡大を食料品価格などの伸び率鈍化が相殺
2025年12月19日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

