サマリー
◆3月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+5%pt(前回差+15%pt)、大企業非製造業では▲1%pt(同+4%pt)といずれも前回調査から改善し、市場予想を上回った。
◆大企業製造業では業況判断DIの水準がコロナショック前の2019年12月を上回り、プラスに転じた。輸出が堅調に推移していることや2021年に入って円安が加速したことが業況の改善に寄与したとみられる。大企業非製造業に関しては、製造業とは対照的に業況判断DIの水準はコロナショック前を大きく下回っており、依然として回復途上にある。業種別に見ると、「不動産」の業況が大幅に改善したほか、公共投資の拡大を主因として「建設」も改善が見られた。加えて、製造業を中心とした企業活動の回復を受けて「対事業所サービス」も改善した。
◆2021年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は、前年度比+0.5%となり、3月調査時点での計画としては高めの数値が示された。2020年度の設備投資の水準がコロナショックの影響で切り下がったことからの反動増という側面もあるが、新型コロナウイルス感染症の拡大が早期に収束する見込みが立たない中でも、企業が設備投資に前向きな姿勢を示したことはポジティブに評価できよう。
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