サマリー
◆日本銀行は3月19日に「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」を公表し、そこで示された分析結果を反映する形で金融政策の変更を行った。今回の「点検」における政策の変更は、長短金利の低下余地を拡大させることで、金融緩和の持続性の強化に繋がったと概ねポジティブに評価できる内容である。
◆今回の金融政策の変更におけるポイントとして、貸出促進付利制度の導入によりマイナス金利の深掘りを通じた金融緩和の余地が拡大したこと、及び追加緩和のオプションが増加したことが挙げられる。貸出促進付利制度の導入は、2%の物価安定目標はもちろん、日本銀行がその時々に直面する課題に対して一層柔軟な政策対応を取ることを可能にする。
◆一方、日本銀行による金融政策が財政政策の領域へと一層踏み込むことになるリスクには警戒が必要だ。特定の政策目的を支援するために貸出促進付利制度が利用されるようになれば、物価安定目標に資する可能性はあるものの、財政政策としての色合いが濃くなる。日本銀行が2%の物価安定目標の達成のために政府と一体となって取り組むことは2013年1月のアコードで表明されているが、貸出促進付利制度を通じて金融政策と財政政策との垣根が一段と低くなる可能性がある。
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